先生の声:すでに活用している先生へ

授業での活用事例とその工夫

子供たちの情報モラルに関する問題が深刻化する中で、GIGAワークブックを効果的に活用していくためにはどのような工夫が考えられるのでしょうか。ここでは、多可町立八千代小学校の市位 真先生と淡路市立東浦中学校の廣瀬 雅之先生に活用状況に関するお話を伺いました。

Q1

これまでに子供たちの情報モラルに関する困りごとやトラブルにはどのようなものがありましたか?

A
多可町立八千代小学校 市位 真 先生
スマートフォンの所持率が非常に高く、子ども自身が自分の意思で使える端末を持っている児童が多い現状があります。その中で、チャットアプリを用いたメッセージのやり取りにより、不適切な画像が拡散されたり、「あの子にこんなことを言われた」といったやり取りをきっかけにトラブルが生じたりするケースがあります。また、グループチャット内でのトラブルも見られます。こうした事案への指導は、基本的には個別対応が中心です。生活指導・生徒指導として関係する児童を集めて話をしたり、必要に応じて保護者に来校していただいたりしています。一方で、これらの内容を授業として扱うかどうかは、先生方によって対応が分かれているのが実情です。
A
淡路市立東浦中学校 廣瀬 雅之 先生
授業中に授業とは関係のないサイトを開いてしまう子どもがいます。また、タブレットを活用している中で、データ転送機能を使い、学習に関係のない写真を送信するといった行為も見られました。最近では、インターネット検索をした際に表示されるAIによる回答をそのまま信じてしまい、誤った情報を拾ってくるケースもあります。AIの回答を鵜呑みにしてしまう傾向は、今後さらに注意が必要だと感じています。
Q2

学校や授業の中で、GIGAワークブックをどのように活用していますか?

A
多可町立八千代小学校 市位 真 先生
総合的な学習の時間で情報モラルをカリキュラム化し、GIGAワークブックを活用しています。低学年では生活科、高学年では総合的な学習の時間の中で、「情報の時間」として位置付けています。工夫している点として、指導に向けた資料がしっかり整っているため、そのまま授業で使えることが多い点が挙げられます。また、子どもたちが自分事として捉えながら学習を進められるよう、カード教材を印刷して使用しています。実際に手に取って考えられるため、端末上で操作するよりも、アナログなカードの方が子どもたちは楽しそうに取り組んでいます。端末の活用スキル自体はカリキュラム化していませんが、短時間で指導できる内容が多いため、国語など他教科の学習に入る前の導入として使うこともあります。朝学習などの短い時間でも活用できる点は、非常に便利だと感じています。
A
淡路市立東浦中学校 廣瀬 雅之 先生
教科に限らず活用できますが、特に道徳の授業では使いやすいと感じています。道徳の教科書にもICTを活用する教材があるため、そこでGIGAワークブックと組み合わせて授業を行うと、非常に効果的でした。特に、授業の導入場面で活用することが多いです。まずGIGAワークブックを通して自分事として考え、その後、道徳の学習に入っていく流れが自然にできています。
Q3

GIGAワークブックを活用することで、先生方が実感されている効果はありますか?

A
多可町立八千代小学校 市位 真 先生
道徳と同じで、「やったからすぐにできるようになる」というものではなく、情報モラルの効果を測ること自体は難しいと感じています。ただ、子どもたち側のメリットとしては、カード教材などを活用することで、「私はこう思う」と自分を主語にして対話できる点が非常に大きいと感じています。これまでのように、「SNSは怖いものだ」と伝える講演会型の指導では、どうしても流れてしまうことがありますが、カードがあることで、自分事として語ることができます。

また、先生方にとっても、子どもたちの生活と結び付けて話をしやすい点が良いところです。情報モラルの授業は、「気を付けよう」で終わりがちですが、この教材には、知識やスキルに加えて、知っておくべきことがコラム的に整理されており、授業で扱いやすいと感じています。先生側のメリットとしては、資料がしっかり整っているため、そのまま授業に使うことができ、子どもたちの生活と結び付けて指導しやすい点が挙げられます。
A
淡路市立東浦中学校 廣瀬 雅之 先生
GIGAワークブックのコンテンツを活用した授業では、多くの子どもが自分のこととして捉えて考えてくれていると感じます。ただし、中には、なかなか自分事として捉えられない子もいます。それでも、全体として見ると、多くの子どもが自分なりに考え、向き合えているという実感があります。
Q4

他の先生や、初めてGIGAワークブックを使う先生へアドバイスをお願いします

A
多可町立八千代小学校 市位 真 先生
GIGAワークブックは、学年ごとに「この学年では、こういった内容を扱う」という一覧表が示されているので、まずはそれを確認し、教材をさっと眺めてみるのが良いと思います。その中から、子どもたちの実態に合いそうなものや、「これなら楽しくできそうだな」と感じる教材を一つ選び、入りやすいところから始めるのがおすすめです。実践した内容を先生同士で持ち寄り、「これはこうだった」「ここがよかった」と共有していくことで、少しずつカリキュラム化され、体系的な情報活用能力の育成につながっていくのが理想だと思います。まずは、楽しく授業ができそうなところから始めてもらうのが、一番良いのではないでしょうか。
A
淡路市立東浦中学校 廣瀬 雅之 先生
ロイロ版のGIGAワークブックは、カードを動かしながら操作できるため、使いやすいと感じています。まずは、15分程度で取り組めるコンテンツから始めると良いと思います。特に、子どもたちにとって身近な内容の教材であれば、授業の中でも無理なく活用しやすいのではないでしょうか。
自分を主語に「考え、対話し、選択する経験」が情報社会を生きる力に
酒井郷平 准教授
常葉大学 教育学部
酒井 郷平 准教授

今回のインタビューを通して、先生方にとってGIGAワークブックは子どもたちの生活と結び付いた学びを支える教材として活用されている様子が見えてきました。情報モラルは、単発的に「気を付けよう」と伝えて身に付くものではなく、さまざまな時間や教科の中で繰り返し扱われることで、少しずつ子どもたちの考え方や行動に影響を与えていくものです。特に、カード教材を活用することで、「私はこう思う」と自分を主語にして語り合う学びが生まれている点は、非常に重要だと感じています。「怖いからやめよう」という一方向的な指導ではなく、子ども自身が考え、対話し、選択する経験こそが、これからの情報社会を生きる力につながります。

まずは、できるところから、少しずつ取り入れ、その実践を共有していくことが、結果として学校全体の情報活用能力の育成につながっていきます。GIGAワークブックは、そうした「小さな実践の積み重ね」を後押しする教材だと言えるでしょう。

ヒアリング調査協力者

川戸 宏太 先生
舞鶴市小学校教育研究会情報教育部
梶原 充 先生
舞鶴市小学校教育研究会情報教育部
龜井 貴子 先生
舞鶴市教育委員会学校教育課
廣瀬 雅之 先生
淡路市立東浦中学校
田村 真央 先生
淡路市教育委員会
市位 真 先生
多可町立八千代小学校
足立 浩司 先生
多可町教育委員会学校教育課